■ 1. 個人単位の期間制限
個人単位の期間制限は、派遣労働の利用は臨時的・一時的なものに限るとする原則と派遣労働者の派遣就業への望まない固定化の防止を図る観点から設けられました。
同一の派遣労働者を、派遣先の事業所における同一の「組織単位」に対し派遣できる期間は、3年が限度です。そして、派遣労働者個人単位の期間制限の延長はできません。
(派遣法第40条の3)
■ 2. 違う派遣元事業主からの同一派遣労働者の派遣
個人単位の期間制限は、派遣労働者個人に対してのものであり、抵触日以降は、たとえ派遣元事業主が違っても、同じ組織で引き続き同一の派遣労働者を受け入れることはできません。したがって、設問の派遣先Xは、派遣労働者Aを、違う派遣元事業主から受け入れるからといって、引き続き同じ組織単位で受け入れることはできません。
同じ派遣労働者Aを受け入れた場合、個人単位の期間制限に違反して労働者派遣の役務の提供を受けることになり、労働契約申込みみなし制度の適用の可能性がありますので、派遣先は十分注意をすべきです。
(労働契約申込みみなし制度については「派遣先の方へ」【4】を参照)
■ 3. 派遣先の対応
派遣元事業主は、派遣先に対し、派遣される予定の労働者の氏名等に関する通知をする義務があります。したがって、派遣先は、派遣先管理台帳により、派遣される予定の派遣労働者が個人単位の期間制限に違反していないかを確認する必要があります。
(派遣先への通知義務については「派遣元の方へ」QA8を参照。派遣先管理台帳については「派遣先の方へ」QA5を参照)
(派遣法第35条)
派遣先は、3か月のクーリング期間の要件を満たしていない場合には、派遣元事業主に対し、別の派遣労働者を派遣するよう要請する必要があります。
(弁護士 江上千惠子氏 執筆・補正)