■1.日雇労働者派遣の禁止
日雇労働者とは、「日々又は30日以内の期間を定めて雇用する労働者」のことです。
日雇労働派遣は、その雇用が不安定であり、就業条件の確保や労働・社会保険の適用が不十分であるため、労働者保護の観点から、原則として禁止されています。
なお、労働者派遣の期間が1日しかないにもかかわらず、31日以上の労働契約を締結する等、社会通念上明らかに適当とはいえない労働契約については、日雇派遣の禁止の適用を免れることを目的とした行為と解されるため、注意が必要です。
(派遣法第35条の4)
(業務取扱要領第7の14)
また、30日以内の期間を定めた雇用契約を更新して通算30日を超えるような場合でも日雇派遣として、日雇派遣指針の対象となります。
■2.日雇労働者派遣禁止の例外
次の①と②の例外が認められています。
- 労働者派遣の対象となる日雇労働者の適正な雇用管理に支障を及ぼすおそれがないと認められる下記ア~ツの業務
これらの業務は、専門的な業務と認められ、日雇派遣禁止の例外としても、日雇労働者の適正な雇用管理に支障を及ぼすおそれがないとされました。
業務の具体的内容及び業務に該当するか否かの詳細については、業務取扱要領第6の17「日雇労働者についての労働者派遣の禁止 令第4条の業務」を参照してください。
- 情報処理システム開発関係
- 機械設計関係
- 機器操作関係
- 通訳、翻訳、速記関係
- 秘書関係
- ファイリング関係
- 調査関係
- 財務関係
- 貿易関係
- デモンストレーション関係
- 添乗関係
- 受付・案内関係
- 研究開発関係
- 事業の実施体制の企画、立案関係
- 書籍の制作・編集関係
- 広告デザイン関係
- OAインストラクション関係
- セールスエンジニアの営業、金融商品の営業関係
- 雇用の機会の確保が特に困難であると認められる労働者の雇用の継続等を図るために必要であると認められる場合等
次のア~エのいずれかに該当する場合です。
- 労働者派遣の対象となる日雇労働者が60歳以上である場合
- 労働者派遣の対象となる日雇労働者が学校教育法で規定する学校の学生又は生徒である場合
- 労働者派遣の対象となる日雇労働者の生業収入(主たる業務の収入のこと)の額が500万円以上である場合(副業として日雇派遣に従事させる場合)
- 労働者派遣の対象となる日雇労働者が主として生計を一にする配偶者等の収入により生計を維持している場合であって、世帯収入が500万円以上である場合(主たる生計者以外の者を日雇派遣に従事させる場合)
(派遣法第35条の4)
(業務取扱要領第7の14)
(派遣法施行令第4条第1項・第4条2項)
(弁護士 江上千惠子氏 執筆・補正)