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労働者派遣講座 > 労働者派遣の基礎知識 > 【1】労働者派遣の基礎知識 1 労働者派遣とは

労働者派遣の基礎知識

労働者派遣とは
解説

1. 労働者派遣

労働者派遣とは、派遣元事業主が自己の雇用する労働者を、派遣先の指揮命令を受けて、派遣先のために労働に従事させることをいい、派遣先に対し当該労働者を雇用させることを約してするものを含みません。次に図示するように三者関係が特徴です。

労働者派遣の三者関係図

派遣元と派遣労働者との間に①雇用関係があり、派遣元と派遣先との間に②労働者派遣契約が締結されています。この契約に基づき、派遣元が派遣先に労働者を派遣し、③派遣先は派遣元から委託された指揮命令の権限に基づき、派遣労働者を指揮命令します。

2. 派遣元事業主と派遣労働者の関係

派遣元事業主と派遣労働者との間には、雇用関係があります。したがって、派遣労働者の労働条件は、基本的には、両者間で決定されます。

労働基準法の労働者保護法規の労働者派遣事業に対する適用については、原則として派遣中の労働者と労働契約関係にある派遣元事業主が負う立場にあります。

3. 派遣先と派遣労働者との関係

原則は2のとおりですが、派遣中の労働者に関しては、その者と労働契約関係にない派遣先が、業務遂行上の具体的指揮命令や実際の労働の提供の場における設備、機械等の設置・管理を行っています。したがって、派遣労働者保護の実効を期すといった観点から、派遣先に責任を負わせることが適当な事項については、派遣先に責任を負わせることとする等、派遣法は、労働基準法等の適用について、特例等を設けています。

(派遣法第44~第47条の4)

4. 派遣元事業主と派遣先の責任分担の事例

例えば、派遣法44条2項によると、派遣労働者の派遣就業に関する、労働時間、休憩、休日等の労働者の具体的就業に関連する事項については、派遣先のみを、派遣中の労働者を使用する事業とみなすため、派遣先が責任を負うこととされています。

ただし、「労働時間、休日の枠組みの設定」は、派遣元事業主が行うこととされていますので、派遣先事業主が、派遣労働者に時間外労働や休日労働をさせるためには、派遣元事業主が36協定の締結を行っている必要があります。

(弁護士 江上千惠子氏 執筆・補正)

解説