■ 1. 事業所単位の期間制限の趣旨
派遣労働者の雇用の安定やキャリア形成は、図りにくい面があることから、派遣就業を臨時的・一時的な働き方として位置づけることが原則とされています。
派遣先の常用労働者との代替が生じないよう、労働者派遣の利用を臨時的・一時的なものに限定するという観点から、派遣先の事業所等ごとの業務における有期雇用派遣の受入れは、原則3年までとする、事業所単位の期間制限が設けられています。
■ 2. 過半数労働組合からの意見聴取
派遣先は、事業所単位の期間制限の抵触日の1か月前までに、事業所の過半数労働組合から意見を聴かなければなりません。
派遣先は、意見を聴いた過半数労働組合等が「異議」を述べた場合には、延長しようとする派遣可能期間の終了日までに、派遣可能期間の延長の理由及び期間並びに異議への対応方針について、説明する義務があります。この場合、派遣先は過半数労働組合等の意見を勘案して再検討を加えること等により、その意見を十分に尊重する努力義務があります。その結果、過半数労働組合等からの理解が得られない場合であっても、法制度上は、有期雇用派遣労働者の継続的な受入れが可能となります。
(派遣法40条の2第6項)
一回目の延長に係る意見聴取において、過半数労働組合等から異議が表明された場合、当該意見を十分に尊重するよう努めなければなりません。さらに二回目の延長に係る意見聴取において、再度過半数労働組合等から異議が表明された場合は、当該意見を十分に尊重し、派遣可能期間の延長の中止や期間の短縮、受入れ人数の削減等の対応方針を探ることを検討した上で、その結論をより一層丁寧に説明しなければなりません。
(派遣先指針第2の15の(3))
(弁護士 江上千惠子氏 執筆・補正)