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労働者派遣講座 > 労働者派遣の基礎知識 > 【1】労働者派遣の基礎知識 5 労働者派遣法の歴史

労働者派遣の基礎知識

労働者派遣法の歴史
解説

昭和60年に派遣法が制定されて以後、平成19年改正までは、主に規制緩和の傾向にありましたが、平成20年のリーマンショック後、「派遣切り」によって生活に困窮する派遣労働者が多数発生し社会問題となり、同年頃から派遣法は規制強化の傾向となりました。

平成27年派遣法改正は、規制緩和と規制強化が混在した複雑な様相を呈しており、今後、どのような運用や解釈がなされるのか注目すべきです。

改正の経緯を纏めた年表は、以下のとおりです。今後も、社会情勢の変化によって変わっていくと思われます。労働者派遣のあり方は、働き方の根幹に関わりますので、引き続き目が離せません。

【派遣法年表】
派遣法制定以前 労働者派遣事業は、職業安定法で規定する「労働者供給事業」として禁止されていた。
1985年 (昭和60年) 労働者派遣法が制定される。
  • 専門知識等を必要とする13業務が当初適用対象業務となる(ポジティブリスト化)。
1986年 (昭和61年) 派遣法が施行される。
  • 施行後政令で定める業務に3業務が追加され、16業務となる。
1996年 (平成8年)
  • 規制緩和により、適用対象業務が16業務から26業務に拡大される。
1999年 (平成11年)
  • 適用対象業務の原則自由化(ネガティブリスト化)により、建設、港湾運送、警備、医療、物の製造業務が禁止業務とされる。
  • 新たに対象となった26業務以外の業務については、派遣受入期間が上限1年に制限される。
  • 派遣労働者の直接雇用に関する努力義務が創設される。
2000年 (平成13年)
  • 許可基準の改正により、紹介予定派遣が解禁される。
2003年 (平成15年)
  • 物の製造業務への労働者派遣が解禁される。
  • 26業務以外の業務について、派遣受入期間の上限が1年から最大3年まで延長される。
  • 派遣労働者への労働契約の申込み義務が創設される。
  • 紹介予定派遣が明文化される。
2007年 (平成19年)
  • 製造業務の派遣受入期間が延長される(原則1年・最長3年)。
2008年 (平成20年) 派遣切り等が社会問題となる。
日雇派遣指針が制定される。
2009年 (平成21年) 派遣元・派遣先指針の一部改正、許可基準の見直しがされる。
2012年 (平成24年) 次の改正がされる。
  • 日雇派遣の原則禁止
  • グループ派遣の規制
  • 離職者の規制
  • 派遣労働者の保護・待遇改善強化(無期雇用への転換推進措置の努力義務化等)
  • 労働契約申込みみなし制度の創設(施行は2015年10月)
2015年 (平成27年)
  • 26業務を廃止し、「事業所単位」及び「個人単位」で期間制限をする制度へ変更される。
  • 労働者派遣事業が、全て許可制へ変更される。
  • 派遣労働者のキャリアアップ・処遇改善が強化される。
2018年 (平成30年)
  • 派遣先労働者との均等・均衡方式または労使協定方式により派遣労働者の待遇を決定する際の規定の整備
  • 派遣労働者と正規雇用労働者との待遇差の内容・理由等に関する説明義務
  • 裁判外紛争解決手続(行政ADR)の規定の整備

(弁護士 江上千惠子氏 執筆・補正)

解説