日雇派遣は、派遣労働者の雇用の不安定や低い賃金水準等の問題があり、過去にも、日雇派遣大手企業に事業停止命令が出される等、日雇派遣業界の適正化が求められています。
日雇派遣指針では、派遣元事業主、派遣先が講ずべき措置が定められています。行政の指導監督に従わない事業主は、事業停止命令、事業許可取消等の処分を受ける可能性があります。
日雇派遣指針で定める措置の要点は、次のとおりです。
■1.日雇派遣労働者の雇用の安定を図るために必要な措置
- 派遣元事業主及び派遣先は、事前に就業条件を確認すること。
- 労働者派遣契約の期間の長期化を図ること。
- 労働者派遣契約の解除の際に、就業のあっせんや損害賠償等の適切な措置を図ること。
■2.派遣元事業主及び派遣先は、労働者派遣契約に定める就業条件の確保
派遣先の巡回、就業状況の報告等により労働者派遣契約に定められた就業条件を確保すること。
■3.派遣元事業主及び派遣先は、労働・社会保険の適用の促進
- 派遣元事業主は、労働・社会保険の手続を適正に行うこと。
- 派遣元事業主は、派遣先に対し労働・社会保険の適用状況を通知し、派遣先と日雇派遣労働者に未加入の場合の理由の通知を行うこと。
■4.日雇派遣労働者に対する就業条件等の明示
- 労働基準法に定められた労働条件の明示を確実に行うこと。
- 労働者派遣法に定められた就業条件の明示を、モデル就業条件明示書(日雇派遣・携帯メール用)の活用等により確実に行うこと。
■5.教育訓練の機会の確保
具体的内容について基礎知識[4]3参照
■6.関係法令等の関係者への周知
- 派遣元事業主は、派遣労働者登録用のホームページや登録説明会で関係法令の周知を行うこと。
- 派遣先は、文書の配布等による、派遣労働者、直接指揮命令する者等の関係者に関係法令の周知を行うこと。
■7.安全衛生に係る措置
雇入れ時の安全衛生教育、危険有害業務就業時の安全衛生教育を確実に行うこと。
■8.労働条件確保に係る措置
賃金の一部控除、労働時間の算定をはじめとして、労働基準法等関係法令を遵守すること。
■9.情報の提供
派遣元事業主は、派遣料金、派遣労働者の賃金等の事業運営の状況に関する情報の公開を行うこと。
■10.派遣元責任者及び派遣先責任者の連絡調整等
派遣元責任者及び派遣先責任者は、安全衛生等について連絡調整を行うこと。
■11.派遣先への説明
派遣元事業主は、派遣先に対し、派遣労働者が日雇派遣労働者であることを説明すること。
(日雇派遣指針)
(業務取扱要領第7の24)
(弁護士 江上千惠子氏 執筆)
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