■派遣契約の遵守は全社的責務
労働者派遣契約の定めに反することのないように適切な措置を講じなければなりません(派遣法第39条)。
下記の例にあるように、派遣労働者に対して労働者派遣契約における内容と異なる働き方を強い、別の業務の遂行を求めた場合、労働者派遣法違反となります。具体例で確認します。
(派遣法第39条)
事例1 | 派遣契約書において、「パソコンによる会計関係書類を作成する業務」とされて派遣されたが、出迎え、お茶だし等の来客対応を頻繁にさせる。 |
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事例2 | 派遣契約書では、「ファイリングならびにパソコンによる営業データ作成、繁忙期における電話応対」とされていたが、繁忙期以外でも電話応対が常態化してしまっている。 |
派遣先企業では、さまざまな業務において、マニュアルや明文化されていない手順等によって各人の役割が決まっているものですが、繁忙や力関係で業務にかたよりができ、業務分担があいまいになり、しばしば労働者派遣契約の内容と異なる業務が派遣労働者に課されることになりがちです。
派遣労働者本人が気を利かせて手伝うことにも制限があります。派遣先としては、そのような事情を踏まえて、対応をする必要があります。
■労働者派遣契約に定める就業条件の確保
派遣先は、労働者派遣契約を円滑、的確に履行するため、次に掲げる措置その他派遣先の実態に即した適切な措置を講ずること
- 就業条件の周知徹底
労働者派遣契約で定められた就業条件について、当該派遣労働者の業務の遂行を指揮命令する職務上の地位にある者その他の関係者に当該就業条件を記載した書面を交付し、又は就業場所に掲示する等により、周知の徹底を図ること。 - 就業場所の巡回
定期的に派遣労働者の就業場所を巡回し、当該派遣労働者の就業の状況が労働者派遣契約に反していないことを確認すること。 - 就業状況の報告
派遣労働者を直接指揮命令する者から、定期的に当該派遣労働者の就業の状況について報告を求めること。 - 労働者派遣契約の内容の遵守に係る指導
派遣労働者を直接指揮命令する者に対し、労働者派遣契約の内容に違反することとなる業務上の指示を行わないようにすること等の指導を徹底すること。
(派遣先指針第2の2)
■労働者派遣契約の違反
派遣先は、労働者派遣契約の定めに反する事実を知った場合には、これを早急に是正しなければなりません。
また、その行為を行った者及び派遣先責任者に対し労働者派遣契約を遵守させるために必要な措置を講ずることや派遣元事業主と十分に協議した上で損害賠償等の善後処理方策を講ずることとされています。
(派遣先指針第2の5)