雇用と使用が分離した派遣制度においては、派遣労働者の雇用主は派遣元事業主であり、派遣先の就業規則は派遣労働者には適用されません。従って、派遣先における労働条件や服務規律等は派遣労働者には及ばないこととなります。しかし、派遣労働者は派遣先の社員と共に派遣先での仕事を行っていますから、例えば派遣労働者だけが派遣先の社員とは異なる始業・終業時間や休憩時間で働くことは効率的でない場合があります。
そこで、派遣先での労働条件や服務規律等を派遣労働者にも適用するために、派遣先と派遣元が派遣個別契約において派遣先での就業条件を合意し書面にします。また、その就業条件を派遣元と派遣労働者が労働契約において合意し書面として残せば、派遣先が就業規則に規定した画一的な労働条件や服務規律等を派遣労働者にも適用することが可能となります。
これにより、派遣先は派遣労働者に派遣先での就業条件等を遵守して働いてもらうことができます。
■就業規則
常時10人以上を使用する使用者は、就業規則を作成し、労働基準監督署長に届け出なければなりません(労基法第89条)。この場合の10人は正社員等の労働者だけでなく常時使用されるパートタイマーなども含まれます。
就業規則には、労働条件を明確にするだけでなく、職場の秩序を維持し、働きやすい職場にすることや、トラブルを未然に防ぐという役割があります。
(労基法第89条)