■1. 期間制限に抵触することとなる最初の日の明示
派遣元事業主は、労働者派遣をしようとするときは、当該労働者派遣が期間制限の適用を受けないものである場合を除き、あらかじめ派遣労働者に対して、次の①及び②を明示しなければなりません。
- 派遣労働者個人単位の期間制限の抵触日
- 派遣先事業所単位の期間制限の抵触日
(派遣法第34条第1項第3号・第4号)
■2. 事務所単位の派遣可能期間が延長された場合の抵触日の明示
- 派遣先は、事務所単位の派遣可能期間が延長された場合、速やかに、派遣元事業主に対し、事業所単位の期間制限の抵触日を通知しなければなりません。
- 派遣元事業主は、派遣先から通知を受けたときは、遅滞なく、派遣労働者に対し、当該日を明示しなければなりません。
(派遣法第34条第2項)
■3. 労働契約申込みみなし制度の対象となることの明示
派遣元事業主は、派遣労働者個人単位の期間制限又は派遣先事業所単位の期間制限に違反して派遣の提供を受けた場合には、労働契約申込みみなし制度の対象となることを明示しなければなりません。
(派遣法第34条第3項)
さらに、派遣元事業主は、労働契約申込みみなし制度が適用される場合については、期間制限以外の事由によるものもあることについて明示することが望ましいです。
(業務取扱要領第6の13(4))
【記載参考例 業務取扱要領の「就業条件等の明示の例」に掲載されたものを参考に筆者が手を加えたものです】
派遣期間:令和2年10月1日から令和3年9月30日まで
- 派遣先の事業所における期間制限に抵触する最初の日:令和5年10月1日
- 組織単位における期間制限に抵触する最初の日:令和5年10月1日
- 派遣先の事業所における期間制限の抵触日は延長されることがあるが、組織単位における期間制限の抵触日は延長されることはない。
- 派遣先の事業所における派遣可能期間の延長について、当該手続を適正に行っていない場合や派遣労働者個人単位の期間制限の抵触日を超えて労働者派遣の役務の提供を受けた場合は、派遣先は、労働契約申込みみなし制度の対象となる。
- 期間制限以外の事由(派遣労働者を禁止業務に従事させた場合、無許可の派遣元から労働者派遣の役務の提供を受け入れた場合、偽装請負の場合)についても、労働契約申込みみなし制度の対象となる。
(弁護士 江上千惠子氏 執筆・補正)
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