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労働者派遣講座 > 派遣元の方へ > 【5】労働者派遣を終えるとき Q24 派遣労働者の中途退社

労働者派遣を終えるとき

派遣労働者の中途退社
解説

労働契約で期間を定めた場合は、労働者も使用者もその契約期間を守る必要があります。労働者の退職は自由にできる訳ではありません。 また、親の介護の場合は、その親が寝たきりなのか、他に介護できる兄弟などいないのか、など個々のケースで判断する必要があります。
労働契約期間の有無によって、中途退社の取り扱いが異なりますので注意が必要です。

<労働契約期間を定めている場合>

労働契約の原則

派遣労働者と期間の定めのある労働契約を締結した場合、派遣元も派遣労働者も、その労働契約に定めた期間を守る義務があります。労働契約期間の満了前に退職することは契約違反(民法第415条)になり、原則として派遣労働者は勝手な理由で退職することはできないわけです。
一方、就業規則や労働契約で「契約期間途中であっても一定の理由があれば退職を認める」という規定がある場合には、理由によっては退職を認めざるを得ません。

やむを得ない事由がある場合は、すぐに中途退社することも可能

派遣労働者から、契約期間内に即刻退社(契約解除)の申し入れがあっても、やむを得ない事由があるときは、派遣元はこれを拒むことは出来ません(民法第628条)。

契約期間が1年を超える場合

期間の定めのある労働契約でも、1年を経過した日以降はいつでも労働者は、使用者に申し出ることによって、一部例外はありますが、いつでも退職することができます(労基法附則第137条)。

(労基法附則第137条)

損害賠償の請求

「やむを得ない事由」がある退社でも、その事由について労働者に過失がある場合には、会社側から労働者への損害賠償請求も可能です(民法第628条)。しかし、派遣元が派遣労働者に損害賠償を求める場合は、損害賠償の確定、責任の度合いなどの立証が困難な場合が多く、あまり現実的とはいえません。

<労働契約期間を定めていない場合>

退職の自由

労働者が自分の意思で会社を辞めたいと思った時は、自由に退職する事が出来ることになっています(民法第627条第1項)。 逆に会社が労働者を解雇する事に関してはかなり厳しい法律の規制があります(労働契約法第16条、判例法理)。

退職するまでの期間

労働者が突然辞めてしまうと、業務に支障が生じます。このようなトラブルを防止するために、一般的には就業規則で「退職の申し出は、退職予定日の○日前に申し出ること」というように、定めておくことが必要です。
就業規則に定めがない場合は、労働者は少なくとも2週間前までに退職を申し出ることによって、いつでも労働契約を解除することができます(民法第627条第1項)。したがって、会社は、これ以降労働者を拘束する事は出来ません。辞めたいと思ったら退職日の最低でも2週間前までには届けを出しておけばよいということになります。
また、この申し出は原則的に、労働者からの口頭での意思表示で足りるとされていますが、行き違いのないよう、文書で退職の意思、つまり「退職届等」の手続きを行ってもらうのがベストです。

(弁護士 江上千惠子氏 補正)

解説