■労働者派遣契約の内容
労働者派遣個別契約の締結にあたっては、次の1.~17.の事項を定めるとともに、その内容の差異に応じて派遣労働者の人数を定めなければなりません。そして、必ず書面に記載することが必要です(派遣法第26条第1項)(派遣則第22条)。
平成30年の改正により付加された事項には★を付しています。
- 派遣労働者が従事する業務の内容
業務の内容は、その業務に必要とされる能力、従事する業務等が具体的に記述され、その記載により当該労働者派遣にふさわしい派遣労働者を派遣元事業主が選定できる程度のものであることが必要であり、できる限り詳細であることが適当であるとされています。
また、同一の派遣労働者が複数の業務に従事する場合には、それぞれの業務内容について記載することが求められています。 - ★派遣労働者が従事する業務に伴う責任の程度
できる限り具体的に記載することが望ましいです。
記載例「副リーダー:部下2名、リーダー不在の間における緊急対応が週1回程度有」 - 派遣労働者の就業場所並びに組織単位
派遣労働者が、労働者派遣に係る労働に従事する事業所の名称及び所在地、その他派遣就業の場所並びに組織単位も含むものです。
そして、原則として、派遣労働者の所属する部署、電話番号等、必要な場合に派遣元事業主が当該派遣労働者と連絡が取れる程度の内容であることが求められています。 - 派遣労働者を直接指揮命令する者
労働者派遣の役務の提供を受ける者のために、就業中の派遣労働者を直接指揮命令する者に関する事項 - 労働者派遣の期間、派遣就業する日
派遣期間については、できるだけ長くするよう努めるよう求められています。ただし、労働者派遣契約を締結する前に、派遣受入期間制限抵触日が派遣先から通知されますので、その範囲内で期間を定めてください。 - 派遣就業の開始、終了の時刻、休憩時間
具体的な始業と就業の時刻と休憩についての時刻を定めてください。 - 派遣労働者の安全、衛生の確保に関する事項
- 派遣労働者からの苦情の処理に関する事項
- 労働者派遣契約の解除にあたって講ずる派遣労働者の雇用の安定を図るために必要な措置に関する事項(派遣法第29条の2)
- 労働者派遣契約の解除の事前の申入れと派遣元の合意
- 派遣先における就業機会の確保
- 損害賠償等に係る適切な措置
派遣先の責めに期すべき事由による派遣契約の中途解除に当たって、派遣先は、休業等により生じた派遣元事業主の損害(例えば、休業手当相当額、やむを得ず解雇するときの解雇予告手当相当額以上の額)を賠償しなければならないことについて定めて下さい(派遣先指針第2の6)。 - 派遣先は、労働者派遣契約の契約期間が満了する前に労働者派遣契約の解除を行う場合であって、派遣元事業主から請求があったときは、労働者派遣契約の解除を行う理由を当該派遣元事業主に対し明らかにすること。
- 紹介予定派遣に関する事項(紹介予定派遣である場合のみ)
・書面の記載が必要(契約書にすれば充分条件を充たします。) - 派遣元責任者及び派遣先責任者に関する事項
- 5.の派遣就業する日以外について就業させることができる日、6.の時間以外について就業させることができる時間数(※三六協定の範囲内)
- 派遣労働者に利用させることができる派遣先の施設等(ロッカー、食堂、診療所など)
- 労働者派遣の役務の提供を受ける者が、労働者派遣の終了後に当該労働者派遣に係る派遣労働者を雇用する場合は、労働者派遣をする事業主に対し、
- あらかじめその旨を通知すること
- 手数料を支払うこと
- その他の労働者派遣の終了後に労働者派遣契約の当事者間の紛争を防止するために講ずる措置
- ★派遣労働者を協定対象派遣労働者に限定するか否かの別
- 派遣労働者を無期雇用派遣労働者又は60歳以上の者に限るか否かの別
- 派遣可能期間の制限を受けない業務に係る労働者派遣に関する事項
(弁護士 江上千惠子氏 補正)
<<前へ
次へ>>