■1. 教育訓練方法
どのような教育訓練を行うかについては、法令で定める要件を満たしていれば(教育訓練の要件については派遣元QA18を参照)、第一義的に派遣元事業主の裁量に委ねられています。
教育訓練の実効性を考えると集合研修が望ましいと考えますが、派遣先が派遣元事業主の事務所から遠くに散らばっており、集合研修をするための日程調整等が難しい場合には、eラーニングや通信教育でも教育訓練として差支えありません。
■2. 時間管理の工夫
派遣元事業主は、キャリアアップ措置を有給かつ無償で行うことが必要ですので、時間管理を行わなければなりません。eラーニングによる場合には、電子機器のアクセス時間等により訓練時間を管理する方法が考えられます。
eラーニングの設備を有しておらず、教材郵送による通信教育の場合には時間管理が難しいですので、当該教材の学習に必要とされる時間数に見合った賃金を支払うことが考えられます。
■3. 実効性の工夫
派遣元事業主は、教育訓練が派遣労働者のスキルアップに繋がることを派遣労働者に周知すべきです。
また、派遣元事業主は、派遣労働者の意向に沿った実行性のある教育訓練が実施されることが望ましいです。希望者について実施しなければならないキャリア・コンサルティング(対面のみならず電話等で行うことも可能です。)を通じて、派遣労働者のスキルアップに繋がる実効性のある教育訓練を工夫することが大事です。
(業務取扱要領第6の3の(5))
■4. 教育訓練等に関して派遣先が講ずべき措置
- 派遣先労働者と派遣労働者の均衡
派遣先は、その指揮命令の下に従事させる派遣労働者について、派遣元事業主からの求めに応じて、当該派遣労働者が従事している業務と同種の業務に従事する労働者が従事する業務の遂行に必要な能力を付与するための教育訓練については、派遣労働者に対しても、これを実施するよう配慮しなければなりません。
(派遣法第40条第2項)
- 派遣元事業主との協議、協力等の努力義務
派遣先は、(1)の他に派遣先が教育訓練を実施するに当たり、派遣元事業主から求めがあったときは、派遣元事業主と協議等を行い、派遣労働者が当該教育訓練を受講できるよう可能な限り協力するとともに、必要に応じた当該教育訓練に係る便宜を図るよう努める義務があります。
(派遣先指針 第2-9-⑶ 平成11年労働省告示138号 最終改正:平成30年厚生労働省告示428号)
(弁護士 江上千惠子氏 執筆)