■ 1.基本ルールの根拠
紹介予定派遣は、派遣労働者の特定行為が可能ですが、派遣先・派遣元は、派遣労働者の条件等を自由に決めることができるわけではありません。
派遣法、派遣元事業主に対する指針、派遣先に対する指針、業務取扱要領、雇用対策法、男女雇用機会均等法等を根拠とする、一定の基本ルールに従って紹介予定派遣を行うことが必要です。
■ 2.主要な基本ルール
- 派遣期間は、6か月を超えてはいけません。
(派遣元指針第2の13の(1))
- 派遣元事業主は、紹介予定派遣に係る派遣労働者を雇い入れる場合は、その旨を派遣労働者に明示しなければなりません。
また、既に雇い入れている労働者を新たに紹介予定派遣の対象とする場合は、その旨を労働者に明示し、労働者の同意を得なければなりません。
(派遣法第32条)
- 派遣先は、紹介予定派遣に係る派遣労働者を特定等するに当たっては、直接雇用する場合と同様に、雇用対策法第10条の趣旨に照らして、年齢差別を行ってはなりません。
また、男女雇用機会均等法第5条及び第7条の趣旨に照らして、性別による差別を行ってはなりません。
(派遣先指針第2の18の(3)・(4))
- 派遣元事業主は、紹介予定派遣の場合、派遣労働者に対する就業条件明示書に、紹介予定派遣に関する事項を記載しなければなりません。
紹介予定派遣に関する事項とは次のア~エの事項です。
- 紹介予定派遣である旨
- 紹介予定派遣を経て派遣先が雇用する場合に予定される労働条件について
- 紹介予定派遣を受けた派遣先が、職業紹介を受けることを希望しなかった場合又は職業紹介を受けた者を雇用しなかった場合には、それぞれの理由を、派遣労働者の求めに応じて、原則として書面(派遣労働者が希望した場合に限ってファクシミリ又は電子メールでも可能)によって派遣労働者に明示する旨
- 紹介予定派遣を経て派遣先が雇用する場合に、年次有給休暇及び退職金の取扱いについて、労働者派遣の期間を勤務期間に含めて参入する場合はその旨
(業務取扱要領第7の10の(3)の⑨)
(弁護士 江上千惠子氏 執筆)
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