■1. 労働契約申込みみなし制度の趣旨と概要
労働契約申込みみなし制度は、違法派遣労働者の是正に当たって、派遣労働者の希望を踏まえつつ、雇用の安定が図られるようにするため、
- 禁止業務に従事させた場合
- 無許可事業主から派遣労働者を受け入れた場合
- 労働者派遣の役務の提供を受ける期間の制限に違反した場合
- いわゆる偽装請負の場合
については、当該行為を行った時点において、善意無過失の場合を除き、労働者派遣の役務を受ける者が、派遣労働者に対して労働契約の申込みをしたものとみなす制度です。
■2. 申込みの内容となる労働条件
派遣元事業主と派遣労働者との間の労働契約と同一の労働条件となります。ただし、申し込みをしたものとみなされる労働条件の内容は、使用者が変わった場合にも承継されることが社会通念上相当であるもののみ対象となります。
なお、労働契約法第18条に規定する通算契約期間は、同一の使用者について算定するものですので、派遣先で就業していた派遣労働者がみなし制度の対象となった場合、原則として、承諾時点までの派遣元事業主と派遣労働者との労働契約期間と、当該派遣労働者が承諾して派遣先に直接雇用となった以後の労働契約期間は通算されません。
(弁護士 江上千惠子氏 執筆)
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