■派遣労働者でなくても難しい解雇
解雇とは、会社の一方的な意思表示で労働契約を終了させる行為ですが、派遣労働者も一般労働者も同様で、いつでも自由に行えるというものではありません。 原則的には、登録型派遣労働者のように期間を定めて労働契約を結んだ場合には、やむを得ない事由がない限り、派遣元が契約期間の途中で勝手に派遣労働者を解雇することができません(労働契約法第17条)。
■派遣元・派遣先の措置
派遣元と派遣先との労働者派遣契約が中途解除されたケースは、「やむを得ない事由」には該当しません。よって、派遣元と派遣労働者との労働契約にはなんら影響を与えるものではなく、そのまま存続します。
この場合、派遣元は、
- 派遣先と連携して派遣先の関連会社で、就業のあっせんを受ける
- 派遣元において他の派遣先を確保し提供する
など、派遣労働者の新たな就業機会を確保しなければなりません。(派遣元指針第2の2(3))
(派遣元指針第2の2(3))
■賃金
派遣元と派遣先との労働者派遣契約が中途解除されても、派遣労働者と派遣元との間には雇用期間満了まで労働契約が継続しており、派遣元は賃金を全額支払う必要があります(民法第536条第2項「債権者の責めに帰すべき事由によって、債務を履行することができなくなったときは、債務者は反対給付を受ける権利を失わない。」)。■休業手当
就業機会を確保できず、派遣元が派遣労働者を休業させる場合は、休業手当として、平均賃金の6割以上を支払わなければなりません(労基法第26条)。
(労基法第26条)
(派遣元指針第2の2(3))
■解雇予告手当
もし、やむを得ない事由があり、派遣労働者を解雇しようとする場合は、手続きとして、少なくとも30日前までに解雇の予告を行うか、平均賃金の30日分以上の解雇予告手当を支払わなければなりません(労基法第20条)。 なお、雇用期間が2か月以内の労働者は解雇予告の対象から除外されますが、1回でも、契約を更新されている場合には、上記予告の手続きが必要になります。
(労基法第20条)
(派遣元指針第2の2(3))
(弁護士 江上千惠子氏 補正)