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労働者派遣講座 > 派遣元の方へ > 【2】派遣先と労働者派遣契約を締結するに当たって Q7 「派遣元責任者」の選任、「派遣元管理台帳」の作成

派遣先と労働者派遣契約を締結するに当たって

「派遣元責任者」の選任、「派遣元管理台帳」の作成
解説

1. 派遣元責任者選任義務

派遣元事業主は、適正な雇用管理を確保するため、派遣先で就業することとなる派遣労働者に係る派遣元事業主の雇用管理上の責任を一元的に負う「派遣元責任者」を選任する義務があります。

2. 派遣元責任者となる者の要件の追加

派遣元責任者の要件については、「派遣法第6条第1号から第8号までに該当しない者(未成年者を除く)」とされていましたが、平成27年派遣法改正により、「派遣労働者に係る雇用管理を適正に行うに足りる能力を有する者として、厚生労働省令で定める基準に適合するものに限る。」との要件が追加されました。

厚生労働省令は、過去3年以内に、派遣元責任者講習(派遣労働者に係る雇用管理の適正な実施のために必要な知識を習得させるための講習として厚生労働大臣が定めるもの)を修了した者であることが必要であると定めています。

3. 派遣元責任者の職務の追加

派遣元責任者の職務は、派遣法第36条各号に記載された事項です。平成27年改正により、「当該派遣労働者についての教育訓練の実施及び職業生活の設計に関する相談の機会の確保に関すること。」との事項が追加されました。

これは、平成27年派遣法改正により、派遣元事業主に、その雇用する派遣労働者に対する教育訓練及び希望者に対するキャリア・コンサルティングが義務付けられたことに対応するものです。

4. 派遣元管理台帳作成の意義

派遣元管理台帳は、派遣元事業主が派遣労働者の雇用主として適正な雇用管理を行うために作成するものです。派遣元事業主は、事業所ごとに派遣元管理台帳を作成する義務があり、派遣労働者ごとに、法令で定める事項を記載しなければなりません。

また、派遣終了の日から3年間保存する義務があります。

5. 派遣元管理台帳の記載事項

(平成27年派遣法改正により追加された事項は、下線で示します。)

  1. 派遣労働者の氏名
  2. 無期雇用派遣労働者と有期雇用派遣労働者の別
  3. 60歳以上の者であるか否かの別
  4. 派遣先の氏名又は名称
  5. 派遣先の事業所の名称
  6. 派遣先の事業所の所在地その他派遣就業の場所及び組織単位
  7. 労働者派遣の期間及び派遣就業をする日
  8. 始業及び終業の時刻
  9. 従事する業務の種類
  10. 派遣労働者から申出を受けた苦情の処理に関する事項

    苦情の申出を受けた都度、及び苦情の処理に当たった都度記載します。

  11. 紹介予定派遣に関する事項

    紹介予定派遣に係る派遣労働者について記載します。

  12. 派遣元責任者及び派遣先責任者に関する事項
  13. ⑦で定める日又は⑧で定める時間以外に派遣就業をさせることができる旨の定めをした場合は、その日又は延長することができる時間数
  14. 期間制限のない労働者派遣に関する事項
  15. 労働、社会保険の被保険者資格届の提出の有無

    「無」の場合は、その具体的理由を付記します。

  16. 段階的かつ体系的な教育訓練を行った日時とその内容に関する事項
  17. キャリア・コンサルティングを行った日時とその内容に関する事項
  18. 雇用安定措置の内容

派遣労働者に対して実施した措置の日付、内容とその結果について記載する必要があります。派遣先に対して直接雇用の依頼を行った場合については、派遣先の受入れの可否についても記載する必要があります。

(弁護士 江上千惠子氏 執筆)

解説