パート社員を活用している事例を知りたい
2.定着率を上げたい
製造業…電子部品メーカー従業員数/約100人(うちパート社員30人)
再雇用や勤務延長制度等のしくみづくりで長期勤続を実現
■パートの定着を実現
電子部品メーカーB社は、パート社員が辞めないことで有名です。時間給で働くパート社員の平均勤続年数は、実に7年に及んでいます。
■会社として、長期勤続期待のメッセージを明確にする
創業から50年近くを経たB社が、販路を広げ成長を続ける大きな原動力の1つが、工場の生産ラインで働くパート社員です。勤続年数の長さは、作業の熟練度に比例しています。では、なぜ同社のパート社員は辞めないのでしょうか。理由は、会社がパート社員に「長く勤めてください」「ベテランになってください」というメッセージを明確に打ち出していることにあります。
■各種のしくみで働き続けられる環境整備を
それも、単に言葉で言うだけでなく、各種制度で具現化しています。つまり、長く働いてほしいから、長く働ける職場づくりを積極的に進めてきました。例えば、パート社員の雇用契約は“期間の定めのない雇用契約”を結んでいます。つまり、定年までの契約です。また、仕事と家庭の両立を支援するために、育児や介護に配慮したさまざま制度があり、男女ともに働きやすい職場環境の整備を実行しています。
勤務時間への対応も柔軟です。パート社員の勤務時間は「1日4時間以上」。これをクリアしていれば、あとは自由に設定できます。パート社員で入社しても、子どもの手が離れるなど、1日8時間のフルタイム勤務が可能になれば、月給制に移行できます。
■高齢パートの戦力化
各種の制度の中でも最も重要なのが、評価に応じた賃金制度と、希望者全員に適用している定年退職後の再雇用制度です。これらは社員のやりがいに直結します。評価に応じて賃金が上がり、しかも仕事にやりがいを感じ、やる気を維持している限り、「辞めたい」とは思わないのです。しかも同社では、希望者全員を1年ごとの契約更新により65歳まで雇用し続ける再雇用制度をとっています。これは、第一に働く意欲のある間は、働く場を提供したいとの考えからです。もちろん「経験、能力のある多能工を活用したい」「後進の育成」といった意図もあります。こうした一連の取り組みは、同社で働くパート社員に、「ずっとここで働ける」「頑張れば、きちんと認めてもらえる」安心感を与えています。
こうした取り組みを行っていれば、パート社員は自ずと会社を信頼し、協力してくれるようになります。例えば、勤務シフトなどで融通を利かせてくれます。要するに、重要なポイントは、会社が「パート社員が協力してくれない」と嘆くのではなく、率先してパート社員を大事にする姿勢を打ち出すことです。
■定年後の再雇用者を有期雇用で継続雇用する場合
定年に達した後に継続雇用された労働者についても、それがパート社員、あるいは有期雇用の場合には、パートタイム・有期雇用労働法の適用を受けます。事業所において、嘱託社員、シニア社員などと呼ばれていても、正社員に比べて所定労働時間が短かったり、有期雇用労働者であったりする場合には、パートタイム・有期雇用労働法が適用されます。
正社員と、定年に達した後に継続雇用されたパート社員や有期雇用労働者との間の賃金の相違については、実際に両者の間に職務の内容、職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情の相違がある場合は、その相違に応じた賃金の相違は許容されるとされています。
さらに、定年に達した後に継続雇用された者であることは、正社員とパート社員・有期雇用労働者との間の待遇の相違が不合理と認められるか否かを判断するに当たり、パートタイム・有期雇用労働法第8条のその他の事情として考慮される事情に当たると解されています。定年に達した後にパート社員や有期雇用労働者として継続雇用する場合の待遇について、様々な事情が総合的に考慮されて、正社員と継続雇用される労働者との間の待遇の相違が不合理と認められるか否かが判断されることになります。(平30.12.28厚生労働省告示第430号)