パート社員を雇う際のルールを知りたい
採用時の労働条件の明示
パート社員を雇い入れる際、労働条件を文書で明示しましょう。
とくに、パート社員については、昇給の有無・退職手当の有無・賞与の有無・相談窓口についても文書による明示が必要です。
トラブルを防止するため、労働条件に関する下記の1〜11の事項を文書交付等により明示しなければなりません。
(労働基準法15条・同施行規則5条、パートタイム・有期雇用労働法6条)
1. 労働契約の期間に関する事項
1の2. 有期労働契約を更新する場合の基準に関する事項(通算契約期間(労働契約法18条1項に規定する通算契約期間をいう。)又は有期労働契約の更新回数に上限の定めがある場合には当該上限を含む。)
1の3. 就業の場所及び従事すべき業務に関する事項(就業の場所及び従事すべき業務の変更の範囲を含む。)
2. 始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて就業させる場合における就業時転換に関する事項
3. 賃金(退職手当及び5に規定する賃金を除く。以下3において同じ。)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項
4. 退職に関する事項(解雇の事由を含む。)
4の2. 退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項
5. 臨時に支払われる賃金(退職手当を除く。)、賞与及び労働契約法8条各号に掲げる賃金並びに最低賃金額に関する事項
6. 労働者に負担させるべき食費、作業用品その他に関する事項
7. 安全及び衛生に関する事項
8. 職業訓練に関する事項
9. 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項
10. 表彰及び制裁に関する事項
11. 休職に関する事項
また、有期雇用のパート社員には、「無期転換申込権」が発生する契約更新のタイミングごとに、該当する有期労働契約の契約期間の初日から満了する日までの間、無期転換を申し込むことができる旨(無期転換申込機会)を書面により明示することが必要になります。初めて無期転換申込権が発生する有期労働契約が満了した後も、有期労働契約を更新する場合は、更新の都度、上記の明示が必要になります。厚生労働省は、労働条件通知書(無期転換後の労働条件)のモデルも公表しています。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/roudoukijunkankei.html
パート社員を雇い入れたときの事業主による説明義務
事業主はパート社員を雇い入れたときは、速やかに、パートタイム・有期雇用労働法8条から13条の規定により講ずべきこととされている事項に関し講ずることとしている措置の内容について、パート社員に説明しなければなりません(パートタイム・有期雇用労働法14条1項)。
説明義務が課せられる事項
不合理な待遇の禁止、通常の労働者と同視すべき短時間労働者に対する差別的取扱いの禁止、賃金の決定方法、教育訓練、福利厚生施設、通常の労働者への転換を促進するための措置
待遇の決定に当たって考慮した事項の説明
事業主は雇入れ後にパート社員から求められたときは、正社員との間の待遇差の内容や理由、待遇を決定するに当たって考慮した事項を説明しなければなりません(パートタイム・有期雇用労働法14条2項)。
事業主は、パート社員が説明を求めたことを理由として、不利益な取り扱いをしてはなりません(パートタイム・有期雇用労働法14条3項)。
説明義務が課せられる事項
労働条件の文書交付等、就業規則の作成手続、不合理な待遇の禁止、通常の労働者と同視すべき短時間労働者に対する差別的取扱いの禁止、賃金の決定方法、教育訓練、福利厚生施設、通常の労働者への転換を促進するための措置
パート社員からの相談に対応するための体制の整備と周知
事業主は、パート社員の雇用管理の改善等に関する事項に関し、その雇用するパート社員からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制を整備しなければなりません(パートタイム・有期雇用労働法16条1項)。体制整備の例としては、相談担当者を決めて対応させる、事業主自身が相談担当者となり対応する、等が考えられます。
相談窓口(相談担当者の氏名、相談担当の役職、相談担当部署等)は、雇い入れに際して、事業主が文書の交付等により明示しなければなりません(パートタイム・有期雇用労働法施行規則2条)。