パート社員を雇う際のルールを知りたい
労働時間・休暇
パート社員の労働時間や労働日を定めたり、または変更したりする時は、そのパート社員の事情に配慮するように努めましょう。
また、原則として、所定労働時間を超えたり、所定労働日以外の日に労働をさせたりすることはできません。例外的に労働をさせることがある場合には、雇入れの際に、所定労働時間を超えて、または所定労働日以外の日に労働させることがあることや、その程度について明示するように努めましょう。
- 例外的に所定労働時間を超えて、または所定労働日以外に労働させることがある場合
⇒ 雇入れの際に、「所定労働時間を超えて、または所定労働日以外に労働させることがある旨と、その事由、時間数または日数等」について労働条件通知書等において明示してください。また就業規則への記載も必要です。 - 法定労働時間(1週40時間、1日8時間)を超えて働かせる場合には、事業場において労使協定(三六協定)を結び、労働基準監督署に届け出なければなりません。また三六協定の内容を労働者に周知しなければなりません。
- パート社員を法定労働時間を超えて働かせた場合には、割増賃金を支払わなければなりません。また、法定休日に労働させる場合、深夜労働をさせる場合にも、所定の割増賃金を支払わなければなりません。
年次有給休暇
パート社員に対しても年次有給休暇の制度は適用されます。
▼ 6か月間継続勤務し、決められた労働日数の8割以上出勤したパート社員には、年次有給休暇を与えなければなりません。
(1回の労働契約期間は短くても労働契約を更新して通算6か月以上継続して働くようになった場合も同様)
年次有給休暇は労働者が請求した時季に与えなければなりません。
(ただし、会社の事業の正常な運営(業務の正常な運営ではない)が妨げられる場合、時季変更権あり)
年次有給休暇の付与日数
週所定労働時間や週または年間の所定労働日数により、以下のように定められています。
週所定 労働時間 |
継続勤務時間に応じた年次有給休暇の日数 | ||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
週所定 労働日数 |
1年間の 所定労働日数 |
6か月 | 1年 6か月 |
2年 6か月 |
3年 6か月 |
4年 6か月 |
5年 6か月 |
6年 6か月 |
|
30時間以上 | 10日 | 11日 | 12日 | 14日 | 16日 | 18日 | 20日 | ||
30時間未満 | 5日以上 | 217日以上 | |||||||
4日 | 169日〜216日 | 7日 | 8日 | 9日 | 10日 | 12日 | 13日 | 15日 | |
3日 | 121日〜168日 | 5日 | 6日 | 6日 | 8日 | 9日 | 10日 | 11日 | |
2日 | 73日〜120日 | 3日 | 4日 | 4日 | 5日 | 6日 | 6日 | 7日 | |
1日 | 48日〜72日 | 1日 | 2日 | 2日 | 2日 | 3日 | 3日 | 3日 |
★年次有給休暇の取得が確実に進む仕組み(平成31年4月1日施行)
働き方改革により、年5日以上の年次有給休暇の取得が確実に進む仕組みとして、使用者による時季指定制度を一定の要件の下で導入しました(労働基準法39条7項・8項、労働基準法施行規則24条の5。施行日は平成31年4月1日)。この労働基準法39条7項に違反した使用者に対しては、罰則(30万円以下の罰金)の適用があります(労働基準法120条1号)。
年次有給休暇の日数が10労働日以上(繰越分を含まない)である労働者に係る年次有給休暇の日数のうち、5日については、使用者は、基準日(労働基準法39条第2項に規定する6か月経過日)から1年ごとに区分した各期間から1年以内の期間に、労働者ごとにその時季を定めることにより与えなければなりません。パート社員であっても、年10日(繰越分を除く)の年次有給休暇が発生する場合には適用があります(図の太枠の部分)
出典:厚生労働省パンフレット「年5日の次有給休暇の確実な取得わかりやすい解説」
ただし、労働者が自ら時季指定をして取得した年次有給休暇の日数が5日以上の場合、または労働基準法39条6項の労使協定による計画年休によって5日以上の年休を与えた場合においては、新設された使用者の時季指定の対象にはなりません(労働基準法39条8項)。
使用者は、労基法39条7項の規定により、労働者に年次有給休暇時季を指定するに当たっては、あらかじめ、当該年次有給休暇を与えることを当該労働者に明らかにした上で、その時季について当該労働者の意見を聴かなければならず(労働基準法施行規則24条の6第1項)、年次有給休暇の時季を定めるに当たっては、できる限り労働者の希望に沿った時季指定となるよう、聴取した意見を尊重するよう努めなければなりません(同条2項)。
育児休業・介護休業
育児休業・介護休業は労働者が事業主に申し出ることにより取得できるものです。
パート社員についても、以下に該当する場合、育児・介護休業の対象となります。(育児・介護休業法5条、11条)
- 期間の定めのない労働契約で働いている場合
- 期間を定めて雇用されるもののうち、申出時点において次の2つの要件を満たすもの
- 同一の事業主に引き続き雇用された期間が1年以上あること
- 子が1歳6か月に達する日を超えて引き続き雇用が継続することが見込まれること
(介護休業の場合、「子が1歳に達する日」を「介護休業開始予定日から93日を経過する日から6か月を経過する日」と読み替えます。)
★ 有期契約労働者であっても、その契約が実質的に期間の定めのない契約と異ならない状態となっている場合には、1、2の条件を満たしていなくても休業の対象となります。
「子の看護休暇」と「介護休暇」
子の看護休暇
- 小学校就学前の子を養育する労働者は、申し出ることにより、就学前の子が1人の場合は1年に5日、2人以上の場合は10日まで、病気・けがをした子の看護、予防接種、健診等のために、休暇を取得することができます。(育児・介護休業法16条の2)
- 取得単位については、令和2年12月31日までは、労働者の申出により、1日単位、あるいは半日単位の取得となりますが、令和3年1月1日より、育児や介護を行う労働者が、子の看護休暇を時間単位でも取得できる仕組みが導入されます。これに伴い、これまで半日単位の取得ができなかった1日の所定労働時間が4時間以下のパート社員も、時間単位での子の看護休暇を取得できるようになります。
介護休暇
- 要介護状態にある対象家族の介護その他の世話を行う労働者は、申し出ることにより、対象家族が1人であれば年に5日まで、2人以上であれば年に10日まで、休暇を取得することができます。(育児・介護休業法16条の5)
- 取得単位については、令和2年12月31日までは、労働者の申出により、1日単位、あるいは半日単位の取得となりますが、令和3年1月1日より、育児や介護を行う労働者が、介護休暇を時間単位でも取得できる仕組みが導入されます。これに伴い、これまで半日単位の取得ができなかった1日の所定労働時間が4時間以下のパート社員も、時間単位での介護休暇を取得できるようになります。
子の看護休暇・介護休暇の留意事項
- 子の看護休暇・介護休暇制度は、パート社員にも適用があります(ただし、勤続6か月未満の労働者及び週の所定労働日数が2日以下の労働者については、労使協定の締結により対象外とすることができます。)
- 申出は口頭でも認められます。労働基準法で定める年次有給休暇とは別に与える必要があります。
- 子の看護休暇・介護休暇は、有給である必要はありません。
- 事業主は、業務の繁忙等を理由に、休暇の申出を拒むことはできません。
- 子の看護休暇・介護休暇は、1日単位ではなく、半日単位で取得することが可能です(令和2年12月31日までは、1日の所定労働時間が4時間以下の労働者は、半日単位での取得はできませんが、令和3年1月1日からは時間単位取得の対象となります。)。
- 厚生労働省リーフレット「子の看護休暇・介護休暇が時間単位で取得できるようになります!(施行は令和3年1月1日です)」https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000582033.pdf